第87回 脂質と上手に付き合う

<第87回> 2024年 10月11日 M.I

みなさまは健康診断を受けていますか?
診断結果の封筒を開けるときは、毎年ドキドキしますよね。私は今年度の健康診断で「脂質」の項目がC判定でショックを受けました。脂質の異常には遺伝的な要因もあると聞きますが、生活習慣の改善など、自分で出来ることは見直していこうと思うきっかけになりました。

さて、今回は「脂質」についてお話したいと思います。

脂質=油はダイエットや健康を考えると、なるべく摂らない方が良いというイメージはありませんか?ところが、脂質は糖質やタンパク質と並ぶ三大栄養素の1つです。脂質は私たちの体にある細胞の細胞膜を形成していたり、脳の有形成分の約65%を担っていたり、体を動かすエネルギーとなっていたりと、生きていくためには欠かせない栄養です。もちろん、摂りすぎてしまうと体脂肪が増えて太る原因になります。

脂質の成分である「脂肪酸」は、固まりやすさや栄養面など、脂質の特徴の違いを生み出しています。脂肪酸は大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあり、さらに不飽和脂肪酸は構造の違いにより1価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。多価不飽和脂肪酸は体内では作り出せないため食事から摂取する必要があり、必須脂肪酸と呼ばれています。

油に関して「オメガ◯系」という言葉は聞いたことがありますか?これは不飽和脂肪酸の特徴の違いから分けてつけられた呼び名です。ここで重要なのが、必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸は「オメガ3系」と「オメガ6系」に分かれることです。オメガ3系とオメガ6系は相反する作用を持っています。それらをバランス良く摂取する必要があり、理想的なバランスはオメガ3系が「1」に対しオメガ6系が「2〜4」程度と言われています。肉や加工食品、インスタント食にはオメガ6系の油が多く含まれており、近年食の欧米化や利便性を優先させることが増えた日本人は、オメガ6系過多の状態にあると言われています。身体づくりの第1歩として、オメガ3系を摂ることが大切です。

オメガ3系を比較的多く含むものは、えごま油やアマニ油、魚などがあります。ただしえごま油やアマニ油は劣化しやすく加熱調理には適さないため、かけたり混ぜたりする食べ方が良いそうです(スープなど温かい料理は仕上げにかける程度であればOK)。魚は週3回を目標に「魚食」を心がけることが良いと言われています。

以上、脂質の大切さや特徴についてお話しました。脂質の知識を身につけ、健康な生活を送るために脂質と上手に付き合って行きたいですね。


〈参考図書〉
守口徹.「眠れなくなるほど面白い 図解 脂質の話」