ご挨拶


 生理検査センター部長    教授  中里 信和

 
 東北大学病院生理検査センターが10周年を迎えるにあたり,一言ご挨拶申し上げます。
 一般に臨床検査技師が活躍する医療行為はきわめて多岐にわたります。当院のように高い機能が求められる大学病院の場合は,病院の各部門における専門性を高めていくことや,病院として専門性の高い人材を継続的に育成していくことが重要です。一方,働く臨床検査技師個人の立場で考えるならば,特殊な領域での専門性を研いていくことと,ジェネラリストとしてあらゆる部門の職務に通じていることの2つが,キャリアパス上は重要です。中小規模の病院でありがちな2〜3年ごとに持ち場を代えるローテーションでは高い専門性を研くことは困難ですし,かといって特殊な分野のみを担当して技術を高めていくことにもキャリアパス上のリスクがないわけではありません。このような状況において,当院の生理検査センターは,きわめてバランスよく上記の問題を解決していると私は考えます。
 当センターは大きく「肺・循環機能検査部門,「超音波検査部門」,「感覚機能検査部門・バスキュラーラボ」,「脳・神経機能検査部門」の4つの部門に分かれています。この区分は,欧米先進国の大学病院における生理検査のあり方にも近く,大学病院としての専門性を高めるためには最低限,必要なものと思います。当センターでは,各4チームを担当する主任とのスムーズな連携を部門長が統括し,組織運営としては理想的な段階にあると考えます。
 この組織性の高さが遺憾なく発揮できたのは,まさに covid-19 をはじめとする危機対応においてでした。東日本大震災ほどではないにしても,この10年の間には他にも,地震や大雨による浸水など,さまざまな事件がしばしば発生していますが,そのたびに危機対応能力が磨かれていると思います。大きなトラブルなく10周年を迎え,その間に組織を構成するメンバーも増え,さらには国内・国外も含めた学会活動や,多くの訪問者を迎えての教育活動にも成果をあげてきたことは,本当に有り難いことだと考えております。
 最後になりましたが,当センターの発展にご尽力いただいた各診療科のアドバイザーの皆様や,主治医の皆様,さらには診療技術部ならびに病院事務部の皆様に,心より感謝申し上げます。






 生理検査センター部門長     三木 俊

 

臨床・教育・研究の充実した組織を目指して!

生理検査部門は、平成24年(2012)8月1日に検査部より独立した組織で、令和4年8月で10年が経ちました。発足当初は25名の職員で施行していましたが、多くの業務拡大と業務改善、教育体制の充実、研究拡大を行い、現在では生理検査センター部長の中里信和教授、副部長の山内大輔准教授、各診療科から部門アドバイザー15名の医師と36名の臨床検査技師が生理検査の運営に携わっています。
発足からの業績は、臨床・研究・教育の全てにおいて右肩上がりに伸びており、院内の様々な分野で貢献しています。昨今の新型コロナウィルス感染症に対しても日々変化する状況下でも柔軟に対応し、新たな業務体制の確立に向けて尽力しています。
研究については、治験業務や各診療科との共同研究、独自の臨床研究、働きながら大学院進学など様々な研究活動に従事しており、本人のヤル気次第で可能性は無限大です。熱意のある人たちが集まることを期待しています。
教育については、生理検査の全ての教育プログラム作成や外部研修プログラム、今年度から開始している教育ビデオ作成など、日々進化する医療やITに対応できる発展する教育体制の確立を目指しています。
今後も患者さんに必要な医療を提供するために、チーム医療の一端を担う検査技師として何ができるかを考えながら発展する生理検査部門を構築し、診療に役立つ正確で質の高い検査を提供していきます。

Evolution&Accountability