第54回 自転車漕ぎながら心エコーをしませんか!?

<第54回> 2022年1月12日 遠藤 洋一

当院の生理検査センターでは心エコーや腹部エコー、血管エコーなど様々なエコー検査を施行しています。心エコー検査は、心臓の機能や大きさ、弁の働きなどを調べるもので、基本的にベッドに寝ている安静時に検査をしますが、近年、運動負荷心エコーと言って運動時に行う心エコー検査も徐々に普及しつつあります。

運動を行うと筋肉などの酸素需要が増加するため、心臓では酸素供給量を増やすために心拍出量を増加させようとし、血圧上昇や心拍数増加などの変化が起こります。それにより、虚血性心疾患や心筋症、弁膜症、肺高血圧症などの病態が増悪することがあります。

心疾患を有する人で安静時には無症状や軽度の症状であっても、歩行や階段の上り下りなどの運動した際に症状が出現・増悪することは多く、安静時の心エコー検査ではその変化を捉えることはできません。それを捉えられるのが運動負荷心エコーなのです。

当院ではこれまで運動負荷心エコーは行っておりませんでしたが、エルゴメーターという自転車漕ぎをする機器を用いた運動負荷心エコーをこれから徐々に施行していく予定です。この検査は必死に自転車を漕ぐ患者様はもちろん、その状態でエコーをする我々もなかなか大変な検査ではあります。しかし、そこから得られる情報はとても有用であり、心疾患の診断や治療方針の決定に大いに貢献できるのではないかと期待しています。

自転車漕ぎながら心エコーをしてみませんか!?