第56回 紫外線との上手な付き合い方 


<第56回> 2022年3月1日 岡田 亜美

だんだんと日が長くなり、春を感じますね。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

春から夏につれて日差しが強くなると気になってくるのが紫外線です。紫外線を多く浴びると様々な皮膚トラブルが発生する、ということはCMやインターネットなどの情報からご存じの方も多いと思います。しかし、紫外線を全く浴びないことも体にとって良くないとご存じですか?
今回は紫外線の危険な点、良い点についてお話したいと思います。

まずは危険な点からお話したいと思います。
紫外線をたくさん浴びすぎるとどんなことが起きるのでしょうか?
紫外線の影響は太陽にあたってすぐにみられる急性障害と長年にわたってあたり続けて発生する慢性障害にわかれます。急性障害には、日焼け、紫外線角膜炎(雪目)、免疫機能低下など、慢性障害にはしわ・しみ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がんなどが挙げられます。

反対に紫外線を全く浴びないと体にどのような影響が出てくるのでしょうか?
私たちの体にとって大切な栄養の一つであるビタミンDは日光紫外線を利用して産生され、腸からのカルシウム吸収を2~5倍に増加させる働きを持ちます。ビタミンDが不足すると、食べ物からのカルシウムを十分吸収できず、カルシウム不足におちいります。血液中のカルシウム濃度が低下すると、けいれんなどの大きな症状が起こるため、カルシウム貯蔵庫である骨を溶かして濃度を上げようとします。その結果、骨の強度が低下して曲がりやすくなり、くる病(主に成長期の子ども)や骨軟化症(成人)といった病気を起こすようになります。

これまでのお話から、紫外線を浴びることには良い点とあまり良くない点があることがわかりました。「全く紫外線を浴びないことも良くないと理解できたけど、具体的にどのくらい日光浴をしたらいいの?」と思うかもしれませんが、住んでいる場所や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキンタイプ)など多くの要因で左右されるため、一律に何分と言えないそうです。どのくらいの紫外線量がちょうどいいのかというより、紫外線の浴びすぎに注意すると考えたほうが良いのかもしれませんね。

紫外線の浴びすぎ防止対策には、日焼け止めを塗る・こまめに塗りなおす、紫外線の多い時間をさけて行動する、日傘・帽子・サングラスを利用する、日陰を利用するなどが挙げられます。個人差や状況に応じて使い分け、これからますます強くなっていく紫外線と上手に付き合って行きたいですね。

(参考)
環境省紫外線環境保健マニュアル2020