第1回 超音波による頸動脈病変の標準的評価法2016」(案)について

<第1回> 2017年4月12日 三木俊

現在、本邦の頸動脈エコーガイドラインは日本超音波医学会と日本脳神経超音波学会の二つ存在しており、両ガイドラインの相違から臨床現場では統一されたガイドラインが望まれていた。2016年12月8日、日本超音波医学会より統一された「超音波による頸動脈病変の標準的評価法2016」(案)がリリースされた。新しい標準的評価法ではエビデンスと実診療に基づいた検査法や治療法の推奨度を示す「有効性による分類(推奨度)A・B・C1・C2・D」と「研究デザインによる分類(エビデンスレベル)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ」に分類されている。内中膜厚(IMT:intima-media thickness)は臨床における疾患リスク層別化を目的とした場合,mean IMTよりもmax IMTの方が有用であり、mean IMTは複数ポイントのIMTの平均を計測する方法よりも一定の範囲を自動トレースし多数点のIMTの平均を自動計測する方法が推奨されている。IMT-C10は検査対側に顔を45度傾けた体位で、プローブは約45度の入射角度を中心に総頸動脈と頸動脈洞の移行部より中枢側 10mmの遠位壁における IMTを計測する方法であり、手技の煩雑さを軽減できる検査法である。今後、IMT-C10は中心的な計測法となる可能性が高い。

プラークについては従来の内部性状・表面性状の評価に大きな変化はないが、臨床的意義から1.5mm以上のプラークを評価して、1.5mm以下のプラークは評価対象外となっている。また、従来の不安定プラークと記載せず、注意すべきプラークと記載することを勧めている。本ガイドラインを参考に施設で統一された項目と手技の統一・適切な描出・正確な計測が重要である。超音波による頸動脈病変の標準的評価法2016(案) https://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/pdf/Carotid_artery_2016.pdf