第5回 臨床検査技師という職業は10年後に消えるのか?

<第5回> 2017年8月15日 船水康陽

 未来に関する不都合な予測からは目を背けたいと考えるのは凡人の常であり、わが身を振り返っても同じである。さて、未来予想として縁起でも無いが、2013年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士らがアメリカの702業種について「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?(雇用の未来、コンピュータ化によって仕事は失われるのか?)」という調査レポートを発表している。要するに、将来のコンピュータやロボットの発達により、その仕事自体がなくなってしまう可能性が示唆されている。そのランキングをネットで検索してみたが私に関係があるところも含め抜粋すると以下のとおりである。ランキングは影響を受けにくい業種から順に並べてある。

<AIで近未来にいらなくなる職業ランキング> 
※影響を受けにくい職業順
1位 レクリエーションセラピスト (Probability:0.28%)
2位 最新のメカニック、修理工 (Probability:0.30%)
15位 内科医と外科医 (Probability:0.42%)
250位 フライトアテンダント (Probability:35%)
251位 超音波検査士 (Probability:35%)
533位 臨床検査技師 (Probability:90%)
701位 タイトル審査・調査 (Probability:99%)
702位 電話営業 (Probability:99%)

 驚くべきことに私が有する国家資格である臨床検査技師は533位(Probability:90%)と将来、職を失う可能性が高いという結果だったが、超音波検査士は251位(Probability :35%)にランキングしており、コンピュータやロボットに取って代わられにくい業種ということで胸をなでおろしたところである。しかし、同じ超音波検査士であっても実力がなければ生き残れないし、ランキング下位の業種であっても実力のある人は生き残るというのは、しごく当然のことである。ただし、長い時間をかけて習得した知識と技術が、コンピュータやロボットに置き換わるまでの時間が次第に短くなってきていることには違いはない。
 一方、The Wall Street JournalのWeb版(LAUREN WEBER. 2017年1月19日 更新.
http://jp.wsj.com/articles/SB11163456931573304514904582566493718009400)
では以下のリポートが紹介されている。
 「いずれロボットが人間の仕事を奪うとの話をよく耳にするが、米マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの新たなリポートによると、完全に自動化されるリスクにさらされているのは全職業のわずか5%にとどまる。仕事は消滅するのではなく劇的に変化するのであり、労働者は変化への順応を余儀なくされるという。同リポートは800種の職業と2000種の業務を分析。既存テクノロジーの利用で2055年までに、現在の労働者が担っている業務の半分が自動化される可能性があると予測する。こうした変化は大量の失業につながるわけではなく、自動化により向こう50年間で世界の生産性が年間0.8~1.4%向上するとリポートは結論づけている。」
 いずれにしろ、生物学的に過去を振り返ってみても、環境(時代)の変化に順応できた生物が生き残っており、過去も現在も生き抜く力が必要である。さて10年後、20年後の自分は何をしているだろうか?

Photo: Matthew Lloyd/Bloomberg News