第7回 心筋梗塞や脳卒中のリスクは高学歴ほど低い…!?

<第7回> 2017年10月17日 S.A

 平成27年度の日本人の死因第2位は心疾患、第4位は脳血管疾患と、心筋梗塞や脳卒中はいずれも死因の上位を占める疾患である。そのリスクが学歴と関係がある…驚きの内容が、今年米国の医学専門誌電子版で発表された。

「米国の約1万4000人を20年以上追跡した大規模調査を、ミネソタ大学の久保田康彦客員研究員が解析したところ、収入よりも学歴が健康格差を生む可能性が浮かんだ。」
最終学歴が高いほど循環器疾患の発症リスクは下がり、大学院卒が最も低かったとのこと。高校中退者と高卒では約10ポイントも差があり、高校教育を終えたかが健康格差の分かれ目になることが考えられるが、詳しいメカニズムについては触れられていない。高卒以上で低収入の方が、高卒未満で高収入よりもリスクが低かったことより、どうも収入は関係ないようだ。収入との関係があると何となく納得できそうな気もするが、学歴との関係があるとなると……将来設計、健康の知識・意識などの違いなのだろうか。飲酒、喫煙なども少なからず関係しているだろう。

 日本の高校進学率は昭和25年では約43%と半数以下だったが、現在では約97%とかなり高率で中学卒業後は高校へと進んでいる。しかし、高校中退率は約1.5%、約54000人が様々な理由で高校を途中で辞めるのが現状である。(e-Stat学校基本調査)
 「学歴社会」という言葉があるように、そのうち「学歴健康格差」などというものが出てくる時代になってくるのだろうか。万人が満足するような医療を提供できる社会になることを期待したい。
 平成26年度の平均寿命は男80.50歳、女86.83歳といずれも前年度を上回っている。(厚生労働省) 平成34年の推定平均寿命は男81.15歳、女87.87歳という報告もあり、医療だけでなく、介護の充実も早急に求められる。
 数十年後、自分は明るい老後を送れているのだろうか。