第8回 臨床検査技師を志す学生さんへ

<第8回> 2017年11月7日 新谷香織

 今月は『臨床検査技師』に興味を持つ学生さん向けにコラムを書こうと思います。

 私は大学卒業後現職に就き、5年目の臨床検査技師です。突然ですが、臨床検査技師の金の卵である学生の皆さん、病院実習は楽しみですか?病院実習で指導を受ける臨床検査技師に対して、どのようなことを期待しますか?

 臨床検査技師になるためには、臨床検査技師養成課程の認可を受けた専門学校(3年)もしくは大学(4年)を卒業し、毎年2月下旬に行われる国家試験を合格する必要があります。各学校のカリキュラムに必ず含まれるのが、今回話題にする病院実習です。当生理検査センターは県内外の臨床検査技師養成学校からの学生の病院実習を通年で受け入れています。学生にとって、病院実習は学生生活最大のイベントとも言えるでしょう。

 さて臨床検査技師を志した学生時代を振り返ると、皆さん一度は『臨床検査技師 就職』とインターネットで検索したことがあるのではないでしょうか。そこで得られる情報の多くは、就職への不安を高めるような内容が多く、臨床検査技師の業務はそう遠くない将来AIに取って代わられるだろうとまで言われているではありませんか。一般的な学生にとって、現場で働く臨床検査技師から直接話を聞く機会が乏しいため、ネットの情報に頼ってしまうのは当然のことと思われます。だからこそ、病院実習を現場の臨床検査技師から生の声を聞く機会にしてもらえたらと願います。この絶好の機会を逃すのはもったいないです。学生時代の自らの経験から、病院実習で指導する学生さんには、将来臨床検査技師として働くことへの不安を解消できるよう、最大限力になりたいと常々思っています。このような思いは多くのスタッフが持つ思いであり、当生理検査センターでは、スタッフ間で病院実習生への指導方法を検討、指導カリキュラムを再編成、実習後に行うアンケート結果を指導に活かす取り組みを行っています。

 最後になりますが、宮城県臨床検査技師会開催のみやぎ医学検査学会のパネルディスカッションにおいて、現役臨床検査技師養成校の学生を対象にしたアンケート分析の結果が発表されました。いかに臨床検査技師という職業に興味を持ってもらうか、そして宮城県に就職してもらうか、すなわち現場の人材不足を解消するための方策を技師会として考え始めたという活動報告でした。
 病院実習や就職に関して、現場で働く臨床検査技師側も様々考え、学生を、そして新入職員を受け入れようと活動しています。臨床検査技師を目指す学生の進む道は暗い話ばかりではないということをこのコラムを通じて知ってもらえたら、嬉しいです。

 臨床検査技師を目指す学生さんたちが、実り多い病院実習を経験出来ますように。病院実習でお会い出来ることを楽しみにしています。