第14回 超音波検査ってどんな検査?

<第14回> 2018年5月8日 遠藤洋一

 生理検査センターでは様々な検査が施行されています。その中の1つに画像診断である超音波検査があります。今回は、その超音波検査について少し紹介させていただきます。

 そもそも超音波とは何かといいますと、人間の可聴領域は20~20KHz程度とされており、それ以上の高周波の音波のことです。超音波を発信し対象に当たって跳ね返ってきた超音波を受信するまでの時間差から対象までの距離を計算し、それを画像構築し検査を行います。とても特殊なことに思えるかもしれませんが、実はイルカやコウモリなどが周囲の把握や、餌を探すことにこの超音波を使っていると言われており、自然界にも存在するものでもあります。

 検査は観察する部分に検査用のゼリーを塗り、その上からプローブという機械を当てることで、超音波を体内に発信・受信して行います。
<超音波検査の主な長所>
・非侵襲的で繰り返し行うことができる
・リアルタイムに診断できる
・場所を選ばず、特別な準備が必要ない

 放射線も使わず、非侵襲的であることから、胎児検診でお腹の赤ちゃんを見るために使われる機器としてよく知られていますが、その他にもさまざまな領域で超音波は使われています。主なものは、
・腹部超音波検査(お腹の臓器の状態や腫瘍などを観察する)
・心臓超音波検査(心臓の動きや大きさ、弁膜症の有無をみる)
・頚部血管超音波検査(頸動脈の狭窄や動脈硬化を見る)
 他にも、腎動脈、下肢、甲状腺、乳房、運動器などのさまざまな検査に使われています。また、これらのような体表から観察する検査のほかにも、超音波内視鏡や経食道超音波のように体内から観察するような検査もあります。
 このように多岐に渡り活躍する超音波ですが、みなさまも体に気になるところがございましたら、ぜひとも超音波検査を受けてみてはいかがでしょうか。


~おまけ~
 超音波検査は人間だけでなく、動物にも行われています。動物病院では犬や猫などの一般的な動物に普通に使用されているのだとか。なんでも動物の診療で初めて超音波が使われたのは馬と言われています。競走馬の繁殖の際の妊娠鑑定に使われはじめ、特に双子の診断に威力を発揮したそうです(双子の競走馬は能力が劣るとされ、双子として産ますことはないため、この診断は非常に重要)。
 また、高速走行する競走馬にとって宿命といえる、屈腱炎などの脚の病気の診断にも使われています。(屈腱炎はいまだ有効な治療がなく長期休養を要し再発も多い、これで引退する馬も少なくない…)。ほかにも研究目的で心臓のサイズや機能などを測ってもいるそうです(強い競争馬ほど心臓が大きいという説あり)。動物にも超音波が重宝されているのですね。