第62回 ヘッドホン難聴について

<第62回> 2022年9月7日 SS

みなさんは「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」という言葉をご存じでしょうか。簡単に説明をするならば、その名の通りヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることによって起こる「音響性難聴(音響外傷)」のことです。ヘッドホン難聴は、徐々に進行して、少しずつ耳の聞こえが悪くなっていくため、初期には難聴を自覚しにくいことが特徴です。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務やオンライン授業など、音楽を聴く以外にもヘッドホンやイヤホンを利用する機会が増えており、近年、特に問題視されています。2015年、WHO(世界保健機関)では、11億人もの世界の若者たち(12~35歳)が携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどによる音響性難聴のリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしています。
耳から入った音は、内耳の蝸牛という器官にある「有毛細胞」という細胞で、振動から電気信号に変換され、脳に伝わることで聞こえるようになります。特にヘッドホンやイヤホンは耳の中に直接音が入るため、ヘッドホンやイヤホンで長時間大きな音を聞き続けると、有毛細胞が傷つき壊れてしまい、音を感じ取りにくくなり、難聴を引き起こします。
ヘッドホン難聴は、自分自身が注意することで予防ができる難聴です。知らず知らずのうちに難聴を発症してしまうのを防ぐためにも、出来ることから取り入れてみましょう。
 ・音量を下げ、連続して聞かずに休憩を挟む
 ・1日の使用時間を1時間未満にする
 ・周囲の雑音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホンや
   イヤホンを選ぶ
 ・十分な睡眠をとり、身体を休める

〈参考〉
 ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について 小川郁、厚生労働省 e-ヘルスネット