第34回 呼吸の大切さ

<第34回> 2020年1月8日 山口 恵美

 私たちは普段無意識に呼吸をしています。
呼吸とは息を吸って吐くことですが、肺とその周囲の血管の間では、酸素と二酸化炭素の受け渡し(ガス交換)が行われています。血液に取り込まれた酸素が全身に送られることで、臓器・組織・細胞の活動を維持することができます。このような生命維持に欠かせない呼吸を人は1日になんと3万回も行っているのです!!今回は「呼吸」についてお話したいと思います。

 スパイログラムという肺活量を測定する検査を行う際に、患者様より「腹式呼吸と胸式呼吸のどっちでやればいいの??」と質問を受けることがあります。検査のやり方として決まりはないので、「やりやすい方で」とお答えしていますが、この腹式呼吸と胸式呼吸、どのような違い・メリットがあるのでしょうか。肺は肋骨の間にある筋肉“肋間筋”と肺の下部に存在する“横隔膜”に囲まれていますが、それぞれの使い方の違いで胸式・腹式に分かれます。

1、腹式呼吸
 横隔膜の上下を主に使い空気を取り込みます。吸息時は横隔膜を収縮させることで腹腔が変形し、お腹が突き出ます。呼気時は腹筋を収縮させ、腹圧を上げることにより横隔膜がより押し上げられ、深い呼吸ができるようになります。また、下腹部を意識して行うことで骨盤底筋などのインナーマッスルが鍛えられ、尿失禁・尿漏れなどにも効果的だとか。副交感神経(リラックスしている時に優位に働く)を刺激するため、リラックスしたい時も適しています。
 
2、胸式呼吸
 主に肋間筋を使い胸郭を広げて空気を取り込みます。呼吸は浅くなりますが、素早く呼吸ができるため、運動後は息が上がって肩が上下します。これも胸式呼吸です。
また、交感神経(緊張している時に優位に働く)を刺激するため、気持ちを奮い立たせたい時に適しています。交換神経が活発になると身体がシャキッとして血圧も上昇します。そのため朝目覚めた時に胸式呼吸をするとスッキリ目が覚めてきます。

 どちらの呼吸法が優れているという訳ではなく、場面に応じて使い分けることが良いようです。

 体のあらゆる部分に効果のある呼吸。日常生活にうまく取り込めたらいいですよね。


健康管理センターHP 
https://www.handa-center.jp/news/page.php?id=79 
ワクナガ わくわく健康情報館http://www.wakunaga.co.jp/health/month/post_54.html