第40回 次亜塩素酸水ってどんな水?

<第38回> 2020年7月13日 R.I

新型コロナウイルスの消毒で、よく耳にするようになった次亜塩素酸水ですが、本来は厚生労働省からの指針により、食品衛生法で生成方法が指導されている食品添加物になります。

厚生労働省が定義する「次亜塩素酸水」とは、塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電気分解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液のことを指します。
英 名:Hypochlorous Acid Water
殺菌効果を有する分子種:Cl2、HClO、ClO

わが国では平成 14 年 6 月に食品添加物として指定されています。
食品、添加物等の規格基準(昭和 34 年 12 月厚生省告示370 号)において、「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければならない」等の使用基準及び成分規格が定められています。


種類 有効塩素 液性
強酸性次亜塩素酸水 20~60mg/kg pH2.7 以下
弱酸性次亜塩素酸水 10~60mg/kg pH2.7~5.0
微酸性次亜塩素酸水 10~80mg/kg pH5.0~6.5

食品中での安定性
食品に注入・混和するものではなく、食品の殺菌洗浄として使用し、飲用適の水ですすぐため、食品に残留することはありません。

厚生労働省【次亜塩素酸水についての資料】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf?fbclid=IwAR31hr8q2ArIG_pUbsUf6w2SxbJQBohyjshL2qLnCdMvm55UNQTQW_z0Iws


そんな次亜塩素酸水ですが、気をつけたいのは、昨今の新型コロナウイルスに対する商品として、本来の生成法とは違うものが販売されているという点です。
「次亜塩素酸ナトリウム」水溶液を希釈、もしくは、塩酸、クエン酸などの酸性溶液を混ぜる事によってpH調整した水溶液を「次亜塩素酸水」もしくは「次亜塩素酸水溶液」として販売しているケースが多いようです。

次亜塩素酸水として販売されている製品は、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されておらず、液性をpH値によって明記しないものも多く、安全性も根拠不明なものが多いとして、経済産業省では安全性が不明な次亜塩素酸水での噴霧について注意を促しています。

効果については、検証試験が継続中です。
経済産業省ウェブサイト
「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート)より以下抜粋
・性質や取扱においては、製法と原料が基礎的な情報となる。
・効力は「有効塩素濃度(残留塩素濃度)」と「酸性度」が指標となる。
・食品添加物であること、又は食品添加物と同等の液性・濃度であることだけを根拠として、人体への安全性を謳っているものがある。
・紫外線によって分解されるため、遮光性の容器に入れるか冷暗所に保管すべきことを記載していないものがある。

改訂 令和 2 年 6 月 9 日現在の資料です。今後も随時修正されていくようです。
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005-2.pdf

正しい知識で、しっかり手洗いをして感染予防に努めましょう。