第99回 冬の恒例行事:インフルの噂に振り回される人類へ 

<第99回> 2026年1月16日 T. Sato

冬になると「今年はインフル流行がすごいらしいよ」「ワクチンを打っても型が違ったら意味ないんじゃない?」という話を耳にします。実際は意外と誤解も多いため、今回はインフルエンザのワクチンを決める仕組みについて紹介します。

インフルエンザには主に「A型」と「B型」があり、A型には「H1N1」や「H3N2」、B型には「山形系統」「ビクトリア系統」など複数のタイプがあります。ウイルスは毎年少しずつ変化するため、ワクチンは「その年に何が流行るか」を予測して決める必要があります。

では、その予測は誰が行い、どのように決めているのでしょうか?

それは世界中のインフルエンザデータを監視しているWHO(世界保健機関)が毎年2月に北半球向けの「推奨株」を発表します。その情報をもとに、日本では厚生労働省と専門家が協議し、「その年の日本向けの4株」を最終決定します。

選ばれた株に基づき、A型2種類+B型2種類=計4種類をカバーする“4価ワクチン”が数か月かけて製造されます。こうすることで、できるだけ幅広く流行に備えられるように設計されています。

ワクチン接種の時期によく聞く「型がズレたら意味がない」という声も、実は半分正しくて半分誤解です。ワクチンは完全一致でなくても、発症しにくくし、重症化を防ぐ効果があります。また、多くの人が接種することで集団免疫が形成され、社会全体の流行を抑える効果も期待できます。

ワクチンは万能ではなく、リスクを“ゼロ”にはできませんが、健康被害を大きく減らす有効な手段です。
正しい知識を持って、自分と大切な人の健康を守りましょう。


<参考資料>
・WHO(世界保健機関)
Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2024–2025 Northern Hemisphere influenza season
・厚生労働省「季節性インフルエンザワクチン株の選定について」
・国立感染症研究所(NIID)「インフルエンザQ&A」「ワクチンの効果に関する情報」