第42回 血管の不思議

<第42回> 2021年1月14日 真部 美穂

 いくぶん残暑が和らぎ、熱中症の心配から少し開放される日が多くなってきました。そろそろ、お散歩やランニングなどで心も体もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
 今回は血管についてお話したいと思います。

 血管には動脈と静脈、門脈があります。門脈は腸管から栄養を吸収し肝臓に流れていきます。動脈は肺で酸素化された血液を心臓から全身に、静脈は臓器や毛細血管から戻った血液を心臓に運びます。
 血管は閉塞するとどうなるでしょうか。動脈であれば閉塞した場所は血液が送られず細胞が死んでしまうと思いますよね。しかし、閉塞しても細胞が死なないことがあります。それはどんな時かというと、徐々に細くなり閉塞するときです。そのような場合は徐々に新生血管が作られ、臓器や細胞が死なないように血液が循環します。
 静脈はというと動脈と同じように心臓に返る道が途絶えると新たな道を作って心臓に血液が返っていきます。そのようにして、多少の問題があっても適応していくことができます。
 急激に太い血管が詰まると血液の流れの変化に体が適応できず命に関わる状態になることが多くあります。
 急激に血管が詰まる状態になるのはどのようなときでしょうか。
 例えば池などを思い浮かべると流れがなく水の交通がないと水は淀んで透明度が落ちてきますよね。同じように、血管も血液が溜まって動きがないと血液の塊(血栓)ができやすいのです。心臓では左心耳というポケット状のものが左心房にあり、心房細動や心臓が大きくなっている方は大きくなり血液が淀み血栓ができやすくなります。この血栓が頭の血管に飛んでしまうと脳梗塞になってしまいます。血液が淀むことは病気により仕方ないところもありますが、なるべくならば淀まない方がいいですよね。ではどのように血液の淀みを改善するか。それは血行を良くすることが一番簡単です。血行が良ければ、徐々に血管が細くなっていった時でも新生血管ができやすい状態となるでしょう。

 新型コロナウィルスは未だに収束する気配はありません。家にいれば安心と外出を過度に控えると血行が悪くなりますので、適度に外出または家で簡単にできる運動をして健康に過ごせるといいですね。