第43回 ‥待ち時間について思うこと‥

<第43回> 2021年2月9日 情野 千文

 今回のコラムは病院の待ち時間について思うことを書きたいと思います。

 普段、私は医療従事者の立場ですが、体調が悪い時や定期健診で近くのクリニックを受診するときは、患者の立場になります。自分が休みの土曜日に行くとなると、同じように平日受診できない方が多く来院する→混み合うだろうと予想し、予約診察以外はある程度待つことを覚悟して行きます。
待ち時間は読書などで過ごしますが、長い待ち時間を承知しつつ、何となく早く呼ばれることを心待ちにしている自分がいます。体調が悪い時は尚更そう思います。心に余裕のない時は、なかなか誰も呼び出しされない時間があると「何やってんのかな」「もう少し手早くやれないのかな」などとイライラしてしまったりもします。
どの医者ものんびり診察しているつもりではないですし、医院スタッフも最大限の手早さで動いていることは承知していますが、ついついネガティブに考えてしまいます。
現場からすると、診察できる人数に限りはあるのに、次から次へとやってくる患者を打ち切るわけにもいかず、終わりまで医師が食事も摂らずに診察しているという話をよく聞きます。精一杯やっているのに、患者からイライラや文句をぶつけられ、気の毒にも思います。
患者のイライラの背景には「待ち時間の説明がなく時間を無駄にされた」という思いや、自分のことを忘れられているのかも、順番を飛ばされているのかもといった不安などがあると推測します。
来院の段階で混雑しており、すぐに待ち時間を提示・説明されたとしたら、まず本日受診をするかしないか決められます。するとなったら待ち時間中に別の予定が済ませられるなど時間が有効活用でき、納得済みで待つのでクレームまで発展することは少ないと思います。また、受付から待合室の様子をモニタリングし、不安そうな方や具合の悪そうな方に声を掛けてもらえたら、患者さんは待ち時間が長くても安心して待てると思います。
実際にうまく運用しているクリニックもあり、陰ながら?参考にしたりしています。

 自施設での検査待ち時間についても振り返ってみました。
来室している患者さんは医師から検査の指示が出ている方ばかりなので、今現在具合が悪くなくても「疾患のある方」と認識し、なるべく長く待たせないように「迅速に的確な検査の実施」を心掛けます。
随時検査(来室順検査:心電図検査や呼吸機能検査など)は来室患者数が時間によって大きく変わることがあり、混雑具合の差が大きい検査です(いつ頃混むかの予想も難しいです)。待ち時間が長い時は他の検査等に先に回ってもらう等、待ち時間の有効活用を図って頂く案内が大切と考え、実行しています。
また、予約検査の方については予約時間より大幅に早く来ても遅れてきても待ち時間が発生します。早く来たから早く検査に入れるわけではなく、予約時間に近い方が最優先に呼ばれるためです。こちらも今すぐの検査は難しいなど詳しい説明を行い、待ち時間を有効活用してもらえるような案内が必要です。患者さんには予約時間はなるべく守って頂くと検査室での待ち時間は少ないです。
しかし、大学病院であるが故、検査に時間がかかる難しい症例の患者さんが検査に入っている場合に次の方の検査開始が遅くなってしまうことが稀にありますので、ご容赦頂きたいと思います(予定より遅く始まる場合は出来るだけ声がけします)。
混雑する時間には随時スタッフの人数を増やして対応するなど、検査者側も患者さんのために1分でも待ち時間を短くする工夫を続けていきます。

 最後に、検査待ちの間は予めコートやジャケットを脱いでお待ちいただいたり、着脱しやすい服で来室いただけると、検査室に入った時の準備が早くできるため、検査時間の短縮ができ、後の方の待ち時間軽減に役立ちます。
可能な限り、ご協力をお願いします!