第30回 人間の体内時計

<第30回> 2019年9月2日 藤原 淳子

 まだまだ暑い毎日が続いておりますが、皆様体調を崩されていらっしゃいませんか?夏の間は長期休暇や花火大会など、イベントが目白押しであった方もいらっしゃるかも知れません。また、深夜までの残業や勉強を頑張っていらっしゃる方も多いと思われます。ついつい夜更かしして寝不足な方に、今回は少し気になるお話しをさせて頂きたいと思います。
 体内時計やサーカディアン・リズムといった言葉をご存知でしょうか。米ブランダイス大学のホール(Jeffrey C. Hall)博士とロスバシュ(Michael Rosbash)博士,ロックフェラー大学のヤング(Michael W. Young)博士は体内時計・サーカディアン・リズムに関与する遺伝子とそのメカニズムを発見したことで、2017年のノーベル生理学賞を受賞しました。
 人間の体は,24時間のリズムで変化する体内時計を持っています。これは活動や睡眠だけでなく,朝が来ると血圧や心拍数が上昇、夕方には体温が上昇,夜に尿がたくさん排出されたりするリズムです。特に真夜中に起こるリズムは現代人に重要で、深夜に免疫を司る細胞数は最大になり、また、新陳代謝に重要な成長ホルモンの分泌も増加します。こうした周期、サーカディアンリズム(概日リズム)で人間の身体活動や恒常性が保たれています。このリズムが崩れるとホルモンバランスが乱れ、免疫力が低下し病気になり易くなってしまいます。
 現代は深夜までの活動する機会が多く、体内時計のリズムに合った生活を送るのが難しい環境です。しかしながら、時々体内時計を意識されるのもご自身健康のためには重要であるかも知れません。

引用文献:日経サイエンス12月号より引用