第66回 私が大好きなカレーのお話

<第66回> 2023年1月6日 S.N

私はカレーライスが大好きです。カレーにはたくさんの種類やアレンジがありますが、私のイチオシは納豆カレーです。両者の相性は抜群で、納豆のねばねばとカレーのとろみがマッチして絶妙なハーモニーを奏でます。今もふとした時に無性に食べたくなります。

さて、私のカレー事情は置いておいて、カレーにまつわる良い話を一つご紹介します。
実は、カレーを食べることで「動脈硬化の予防につながる」ことが明らかになっているのです。
これはハウス食品と広島大学の研究グループが報告したもので、カレーには動脈硬化の予防に重要な血管内皮機能を改善する効果があることが臨床試験により実証されています。ちょっと難しい話になりますが、動脈硬化は、食事の後に一時的に血糖値が異常に高くなることで生じる酸化ストレスによって、血管が傷つけられ(血管内皮機能が低下し)、進行することが知られています。この血管を傷つける天敵ともいえる酸化ストレスを抑える役割として注目されているのがカレーなのです。カレーにはスパイス由来の抗酸化物質が多く含まれていて、高い抗酸化力が期待できる食品の一つであることが知られています。つまり、抗酸化力が高いカレーを摂取することで酸化ストレスを除去することができれば、血管内皮機能を正常に保つことができ、動脈硬化の予防につながると考えられます。実際に上記研究グループが行った試験では、スパイスを含まない食品(コントロール)の摂取によって血管内皮機能を示すFMD*1値は5.8%(摂取前)から5.1%(摂取後)へ有意に低下した一方で、レトルトカレー摂取の場合は5.2%(摂取前)から6.6%(摂取後)へ有意に上昇したことが明らかとなりました(図1)。
酸化ストレスは動脈硬化以外にも生活習慣病をはじめ、多くの疾患に関与していることが知られていて、カレーの摂取が様々な健康機能を改善する可能性に期待が高まっています。

カレーは美味しさだけでなく健康にも嬉しい、まさに一石二鳥の料理なのかもしれませんね。
 食べすぎに気を付けつつ、私はこれからも素敵なカレーライフを送りたいと思います。


*1 FMD:Flow-Mediated dilationは血管内皮機能を測定する指標。FMD値は、数値が高い方が血管がしなやかに拡張でき、血管内皮機能が健康であるといえる。


図1)カレーの単回摂取が血管内皮機能に及ぼす影響

 


<参考・引用>
1)ハウス食品グループ:https://housefoods-group.com/kenkyu/functions/research/curry.html
2)Nakayama H, et al. A single consumption of curry improved postprandial endothelial function in healthy male subjects: a randomized, controlled crossover trial. Nutr J. 2014: 13: 67.