<第84回> 2024年7月12日 y.t
「何歳からおばさんだと思う?」「24歳!」
当時中学生だった私が理科の女性教師に聞かれ、そう答えたことを懐かしく思います。
当時先生は30手前、28くらいだったのではないかなと思います。
24歳でおばさんだなんて恐ろしいですね。
皆さんは人生を24時間に例える話を知っていますか?
現在の日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳とされています。今回はだいたい間を取って85歳とし、24時間に換算してみましょう。
すると概算で20歳が朝の5時30分、30歳で8時30分、40歳で11時30分、50歳で14時、60歳で17時となります。
子供の頃は「30歳になったらもういい大人で人生の終盤に突入するんだ」くらいに思っていた私ですが、こうして24時間に例えてみると、その認識にはズレがあったのだなと実感します。大人であることに間違いはありませんが、人生の終盤と言うにはだいぶ早すぎますね。30歳で朝の8時30分、人生の本番を迎えるに過ぎません。
これは脳の発達にもリンクします。日本では成人年齢が2022年に18歳に引き下げられましたが、大卒年齢でも脳の発達で言えばまだまだ基本的な機能の充実を図っているに過ぎず、その人らしい個性が輝き始めるのは30歳前後なのだそう。「年を取れば取るほど脳も衰えていく」という認識は間違いで、様々な新しい経験を通じて神経線維は大きく太くなり、樹木のように枝ぶりを成長させ、脳内ネットワークを広げていきます。
しかし、現代人の脳は感情を司る脳領域の発達に偏りが生じていることが多く、周囲の空気を察することはできるけれど、自己感情を生み、具体的な行動に繋げていく脳機能の成長が置いてきぼりになっていることが多いそうです。自分の感情が分からないためになんとなく周囲の価値観を受け入れ、行動してしまう。いい人に見えて他人に合わせているだけ。一見、能動的な選択をしているように見えて実は自主性がなく、自分の人生もどこか他人ごとになってしまい、30歳を超えてから苦しくなってしまうパターンも多いのだそうです。私も大学を卒業したころ、「自分は本当はどんな風に生きていきたいのか」という問いの前に立たされ、検査技師は向いていないのではないかと思い悩み立ち止まったこともありましたが、それはある意味、現代の20代としては年齢相応の悩みであり自分らしく生きていくための足掛かりであったのだなと感じます。
人間の脳の寿命は120歳とされており、その成長は80歳、90歳を超えても続きます。ただし、使っていない脳機能は50代後半を境に衰えていくため注意が必要です。出会いや学びなどの新しい刺激に触れ、インプットとアウトプットを意識して行うことで脳機能を保ち、いつまでも健康でいたいですね。
参考:「一生成長する大人脳」加藤 俊徳
https://president.jp/articles/-/72204?page=1