<第49回> 2021年8月4日 S.A.
突然ですが、皆さん視力は良いですか?
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01~0.02程度。認識できる色は、黒・白・グレーのみといわれており、ほぼ見えていません。1歳頃には視力が0.1~0.2程度になり、その後3歳頃までに急速に発達し、4~5歳頃には1.0程度になります。
生後半年以下の乳児では、物体の知覚を阻害する「逆向マスキング」という知覚現象が生じず、その結果、大人や高月齢の乳児が見ることができない物体を知覚できることが研究で明らかになっています。
赤ちゃんが何もないところを凝視したり、部屋の隅を見て笑ったりするのは、大人がみえない世界を見ているようですね。
ところが近年、子どもの視力低下が問題となっています。2019年度の文部科学省の学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満が小学校で34.57%、中学校で57.47%、高校で67.64%と過去最多となっているそうです。要因の一つとして、スマホ、タブレット、ゲーム機などのデジタル機器の接触時間が長くなっていることがあげられています。
小学校から高校生までの間にもっとも急激に近視が進行するといわれており、この時期の視力低下を防ぐことが大切となります。
視力低下の予防として、米眼科学会は「20-20-20」ルールを推奨しており、20分間継続して近くを見たあとは、20フィート、およそ6メートル以上離れたものを20秒間眺めるというルールです。また、適度な睡眠によって眼をしっかりと休ませることも大切です。
脳に送られる情報の80%以上は眼を通して入ってくるといわれており、認知症の発症リスクとの関連も研究で明らかになってきています。
一度低下すると回復が難しい視力。
子どもから大人まで、見えにくいかな?と思ったら早めの受診が大切ですね。