第50回 マスク生活で不調を感じている方へ

<第50回> 2021年9月3日 新谷 香織

朝夕はだいぶ過ごしやすくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

コロナ禍でおうち時間が増えたので、私は新たな趣味として、ベランダでガーデニングを始めました。園芸の世界では「水やり3年」と言われるほど、水やりは奥が深く、大事な作業で、日々試行錯誤しています。水やりには水圧で鉢の奥に新鮮な酸素を行き渡らせる役割もあります。植物もヒトと同様に、呼吸で代謝に必要なエネルギーを得ており、根の細胞も酸素を必要としています。酸素をたくさん含んだ土壌では、活発に根が呼吸し、健全に機能する根が育ちます。酸欠の根は根腐れを起こし、株に元気がなく、葉っぱが変色、枯れてしまうこともあります。

ヒトは1日約3万回呼吸しています。肺で酸素を取り込み、二酸化炭素を放出します。呼吸は、自律神経によって調節されており、免疫系、内分泌系と密接に作用し合い、体内環境が維持されています。

感染対策のマスク生活で不調を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。マスクを着用していると、自分が吐いた息を吸うこととなり、外気を遮断できる機能が高いマスクほど、呼吸のしにくさから酸素不足や蒸れから息苦しさを感じます。現代人は呼吸が浅いと言われており、さらにストレスで自律神経のバランスが乱れがちになると、交感神経優位となり、呼吸は短く、浅くなってしまいます。コロナ禍のマスク生活は慢性的な酸欠に陥る要素が揃っているとも言えます。

きちんと呼吸ができていないと、細胞に十分な酸素を供給できず、

・新陳代謝低下
・身体のコリ発生
・免疫力の低下
・集中力・思考力の低下
・慢性的な頭痛
・不安やイライラが増大

と様々な不調が身体に現れる可能性があります。

コロナ禍で張り詰めた緊張感で心も体も参っていませんか。
コロナ禍での制限された生活の中で、「あれ??なんかいつもと違うな」と感じたら、いつでも、どこでも、まずはやってみましょう、深呼吸。
意識的な深呼吸を習慣化してみてはいかがでしょうか。
あなたの身体の不調を改善してくれる一手になるかもしれません。


【おまけ】
呼吸機能検査を担当しています。
検査開始時に「姿勢を正すと、肺活量が増えますよ」と声をかけると、老若男女問わず、皆さん背中をピンと伸ばします。
つまり多くの方が知らず知らずに猫背になっています。
猫背だと肺が圧迫されて容量が減り、十分に酸素を取り込めなくなります。
日頃から背筋をピンと伸ばして、酸素の摂取量が増えるといいですね。