第51回 関節リウマチをエコーでみる

<第51回> 2021年10月13日 飯塚 絵里奈

エコー検査というと、腹部エコー検査や心エコー検査、妊婦さんであれば胎児のエコー検査をイメージする方が多くいらっしゃると思いますが、他にも首・お腹・足などの血管をみたり、甲状腺や乳腺をみたりすることもできます。それから、あまり聞いたことはないかもしれませんが、実は関節もエコーでみることができます。

 関節リウマチという病気は知っている方も多いと思いますが、関節内に存在する滑膜という組織が異常増殖することによって関節内に慢性の炎症を引き起こし、以下のような症状をきたす病気です。
 ●手足の指の関節の痛み・腫れ
 ●関節の痛みや腫れが左右対称に現れる
 ●朝方にこわばりを感じる
 ●進行すると手や足に変形をきたす
 ●全身症状として、疲れやすさ、脱力感、体重減少、食欲低下   など

 関節リウマチの検査では、主に血液検査や尿検査、レントゲン検査などが行われます。近年、関節リウマチの早期診断・早期治療の重要性が認識され、リウマチ診療における画像診断の意義は大きくなってきており、低侵襲で簡便に施行可能なエコー検査の有用性も高まってきています。
では、エコーでどんなことが分かるのでしょうか?
関節エコーでは、痛みや腫れがある関節に炎症が存在するか、炎症の度合い(活動性)はどれくらいかをリアルタイムでみる事ができます。また、レントゲンでは分からないようなより早期の微細な骨表面の変化を検出することができます。その他にも、治療効果判定やお薬をやめられるかの判断にもエコー検査は用いられています。

 関節リウマチは免疫の異常によって自分自身の細胞を攻撃してしまい関節内に炎症を引き起こしてしまうのですが、なぜ免疫異常を起こすのか原因についてはまだ完全には分かっていません。原因が不明なため有効な予防法はありませんが、関節リウマチでは早期の治療が大切なので、上記のような症状がある場合には一度病院を受診してみてはいかがでしょうか。

 

図上 手指関節(MCP)の正常像:関節周囲に滑膜肥厚を認めない。
図下 手指関節(MCP)の異常所見:関節周囲に低輝度な滑膜肥厚(黄矢印)および炎症を示す血流シグナル(赤矢印)を認め関節リウマチを疑う所見。