第22回 あなたの筋肉は元気ですか? ~筋肉が減弱するサルコペニアとは~

<第22回> 2019年1月7日 篠田元気

 皆さんは“サルコペニア”という言葉を聞いたことはありますか?

 サルコペニアとは、ギリシャ語で筋肉を表す「sarx(sarco:サルコ)」と喪失を表す「penia(ぺニア)」という言葉を合わせた用語です。日本語では「筋肉減弱症」といい病的に筋肉の量が減少し、筋力(握力)や身体能力(通常の歩行速度)が低下した状態を指します。

 サルコペニアは私たちの健康に多くの悪影響を及ぼします。まず、筋肉の量が減り体脂肪や内臓脂肪が増えると、インスリン抵抗性(肝臓や筋肉などで、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが働きにくくなった状態)が増加します。そうなると糖尿病を発症しやすくなったり、その管理が難しくなったりします。また、筋力が低下すると歩行速度などの身体能力が低下して、転倒や骨折の危険性が高くなり、日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)の低下につながります。さらに、サルコペニアによって免疫機能も低下すると言われています。

 では、サルコペニアを予防・改善するにはどうしたらよいのか。

 最も大切なのは「運動」と「食事」です。筋肉は動かさなければどんどん衰えていくので、定期的に筋肉に負荷をかけてあげる必要があります。サルコペニアの予防・改善に効果的な運動は筋力トレーニングです。苦手という方も多いと思いますが、日常生活の中に運動を取り入れていきましょう。
 例えば、買い物など定期的に通う場所への行き帰りを歩く、歩く際に歩幅を広げる、自転車に積極的に乗る、階段を利用する、などの運動を取り入れる習慣をつけてみましょう。また、筋肉は主にたんぱく質からできているので、食事によってその原料をしっかりと摂取する必要があります。つまり卵、肉、魚、・豆製品、牛乳などの蛋白源を取り入れたバランスのよい食事をすることが大切です。

 サルコペニアの予防・改善は、生活習慣病(糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化など)や認知症などの予防にもつながります。元気な筋肉で、長く健康的な生活を送りましょう!